東京大学物性研究所
The University of Tokyo, The Institute for Solid State Physics
深紫外レーザー時間分解光電子分光装置 (通称:1号機)
1.5 eVパルスで試料を超非平衡状態へとポンプし、5.9 eVパルスで光電子を発生させてプローブする時間分解光電子分光装置である。ポンプとプローブが試料に到達するタイミングは、Delay stageを用いて調整する。
光源にはTi:sapphireレーザーシステム(Coherent社製Mira900, ReGA9000)が用いられている。パルスエネルギーが~4 mJ、繰り返し数は250 kHzである。基本波の波長wを840 nm (1.5 eV)のパルス幅はReGA出射口においてオートコリレーター(APE社製Mini)での測定から170 fsとなっている。光電子を測定するためのプローブ光に用いる深紫外光は2つの非線形光学結晶b - BaB2O4(BBO) type Iを通して発生させた210 nm (5.9 eV)のパルスである。
光学系の概要:CCは凹面鏡、HSは誘電体多層膜ミラー、λ/2、λ/4はそれぞれ2分の1、4分の1波長板、Pol.は偏光板、CaF2はビューポートである。RegAから出射されたパルス光は最初にCC1でwをBBO1に集光して2倍波(2w)を発生させる。CC2で2wをコリメートし、HS1でwと分離する。2wは2枚のプリズムを通過させて分散補償を行った後にレンズでBBO2に集光し、4wを発生させる。コリメートされた4wは3枚のHS2-4で2 wから分離し、レンズで集光されてCaF2を通して測定槽内のサンプルに照射される。HS1で分離したwは可動式のdelay stageを通した後、レンズで集光され、HS5でwと4wは合流し同軸でサンプルに照射される。
●仕 様
電子分光器: VG SCIENTA R4000WAL
励起光源: Ti: Sapphireレーザー
冷却機構: 4He連続流型クライオスタット
分解能: >230 fs, >11 meV